北村年子さんのプロフィール


1962年滋賀県生まれ。ルポライター。
子ども・女性・ジェンダーなどのテーマをはじめ、野宿者、被災者、婚外子の問題など、「社会的弱者」の視点から、取材・執筆活動をつづけている。一方で、思春期電話相談員、若者向けラジオ番組のDJなどを経て、現在、ワークショップを中心にした講座の講師、自己尊重トレーニングトレーナーとしても活躍。
1995年からは主に、乳幼児をもつ母親たちのための連続講座や、地域の子育てグループ作りのためのサポート活動を、各地の公民館などで精力的におこなっている。
1999年より、
(特)子ども劇場全国センター発行の子育て情報誌「るーぷる」の編集代表
(特)CAP(子どもの暴力防止プログラム)センターJAPAN理事、
「育児不安からの回復」「少年犯罪」などの特集を企画、執筆。

著書・・・ 『少女宣言』(長征社)
『たった5つの冴えたやりかた』(シンコーミュージック)
『大阪・道頓堀川「ホームレス」襲撃事件−弱者いじめの連鎖を断つ』(太郎次郎社)
共著・・・ 『戸籍から「個籍」へ』(ゆじょんとブックレット)
編著・・・ 『現代のエスプリ・247 10代の言い分−性の自立を求めて』他

『お疲れさん』-----北村年子さんのお話とワークショップ-----

子どもの虐待が新聞やテレビで報道される。
そのときに親たちは、自分でなかったことに安堵すると同時に、
自分がいつ、同じような行為に出てしまうだろうかと不安になる。
そして、何とか良い親であろうと、悩み続ける。
北村さんはそんな親たちに「子育て、お疲れさん」と声をかける。
毎日、がんばってるんやから、自分をほめてみようと、
「よくやってるね」と、声をかける。

自分を大切にするということから、
子どもたちを大切にすることがはじまるのではないか。
そういうところから、今回の研修会は始まりました。

「自分を好きになる」

毎日、毎日、子育てに追われて、
自分を大切にすることがどこかへ行ってしまっている。
ほめてあげたい自分、いいところがある自分、
きらきら輝いている自分をさがして、
そして自分に声をかけてみる。
そうしてみると、いつも責めてばかりいる毎日が見えてきます。
自分だけでなく、子どもにも責めてばかりいるのではなかっただろうか。
子どもにも「良い子」であろうと強いる自分は
「よい親」であろうとする。
まじめに、真剣に、一人で悩んでいるだけの、人間の姿が見えてきます。
で、どうしてそこまで自分を追い込むのかしら。
虐待をするのは親だけれど、
その親は、実は自らを追い込んできたのではなかったか。

自分を大切にすることからはじまって、子どもも大切にし、
そうして「生まれてきてくれてありがとう」と子どもに言える自分。
そのときに、自分が成長し、
子どもたちも安心して生きていくことができるのではと、北村さんは言います。


『ホームレス襲撃事件』(太郎次郎社刊2200円)

一人の「ホームレス」が、道頓堀川に落とされて、死んだ。
加害者は、「ひっかけ橋」と呼ばれている戎橋界隈でたむろしている若者だった。
1995年に起きたこの事件をマスコミはこぞって、冷血な若者が、「いじめ」の延長かのように簡単に命を奪った、現代的な犯罪であると報道した。
事件を追っていくと、若者対ホームレスということだけでは図れない、背景が現れてきた。若者もまた、いじめに合う側にいたのだった。
そんなところを北村さんは、どうしてそういう悲惨な結果になったのかを追い続けるが、それが単なるニュース解説に終わらないのは、北村さん自身が、「子どもの里」や阪神淡路大震災の現場での活動の経験が豊富で、それぞれの現場で丁寧な人間関係を作ってきたからだろうと思われる。絶望的な事件でありながらも、滅入ってしまわない北村さんのタフさが感じ取られる。
現代の一面を切り取ったこの本は、神戸−難波−西成とそれぞれの距離感を知ると、より一層、心に迫ってくる。西成近辺の地理的感覚を持っている人が読むと、事件が自分の生活圏のすぐそばで起きたことに驚かされるばかりだ。そうでない人にとっても、再びこういう事件が起こりえる状況がまだ放置されていることに、驚かされる。 2002年に入り、関東地方で中学生がホームレスの人を集団で殺す(ほとんどいたぶり)ひどい事件がおきてしまった。
こういう事件の解決のためには、一人一人がきちんと自分と相手を見つめあう、認め合う関係を積み重ねていくことも一つの方法であると思う。
その方法を、北村さんがすでに実践しているというのには感服するばかりだ。 (N)
 

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